新刊紹介:『汚穢のリズムーきたなさ・おぞましさの生活考』(中村沙絵共編) - 2024/1/31
本研究室の中村沙絵准教授を共編者とする『汚穢(おわい)のリズム:きたなさ・おぞましさの生活考』(酒井朋子・奥田太郎・中村沙絵・福永真弓編, 左右社, 288頁, 税込2,640円)が出版されました。以下は簡単な紹介ですが、興味を持っていただければ幸いです。
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「『穢れ』の感覚は、物が本来あるべきところではなく、境界を越えて存在するときに生じる」(メアリ・ダグラス『汚穢と禁忌』)というように、きたない、おぞましい、厭わしいという感覚は、守るべき秩序や構造が危険に晒されたときにたち現れます。つまり汚穢とは、守るべき秩序や自己(物事を認識し秩序立てて考えられる自己)の外にあり、そこに留めおかれることで、制度や自己を脅かしつつ、これを維持もするということです。
こうした見方が、周りの世界を理解する枠組みを提供することもあるでしょう。しかし、このように象徴的に汚穢を捉えるだけでは、私たちが本来自らのうちにふくみこむ、あるいは自分たちの生活と切っても切り離せない、きたなく、おぞましく、あるいは厭わしいと感じるものたちとの遭遇や攻防には、十分に光があてられないのではないでしょうか。
世間では身ぎれいにしていても、自らの生みだす汚穢の轟や腐臭を感じている。まともな大人を演じていても、己のきたなさ、認めたくない汚点に気づいている。そんな風にして、見えないように切り離そうとしてもにじみ出てしまう汚穢に、びくつき、嫌悪しながらも生きていく。その、混沌として騒がしい生活のリズムに感性を研ぎ澄ませるための言葉や表現を模索することは、きれいで、心地よく、すっきりと澄んで、「正しい」世界へと突き進んでいく時代において、生活の現場からの批判(critique)となるかもしれません。
本書は、そのような期待に導かれつつ、人類学・倫理学・環境社会学など分野も関心もことなる研究者11名のエッセイと、アーティスト3名のインタビューが収録された論集です。
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出版社のページ(https://sayusha.com/books/-/isbn9784865284065)に本書の目次や内容説明がありますので、そちらもご覧になれます。